深夜二時。
 俺が寝る時間。

 瞼を閉じれば、巨大な門の前。
 そこに立つ俺の姿は、昼間の面影はない。

 黒髪は白髪になり、首の付け根辺りの髪だけが尻尾の様に伸びて、それを金輪が纏めている。
 瞳は黒から銀に、年齢も中学生から大人に変わる。
 右目に刻まれた『力』が浮き上がり、左手に漆黒の三叉槍を持つ。

 これが俺の仕事の姿。




 俺が背負った業の姿。




 仕事内容は、循環する魂を守り、戒を破る脱獄者を輪に戻すこと。

 見守る魂は炎の様に揺めき、熱を持たない。
 脱獄する魂は黒く汚れ、業火を纏う。

 この頃は大人しい。
 ほとんどないと言っていいぐらいに、脱獄者がいない。

 機会を伺っているのか、脱獄する気力がないのか…楽でいいけど。

 絶え間なく巡る魂を見つめる。
 淡い光、力強い光、消え入りそうな光…様々な光が雪のように俺の周りを取り巻き、門の中に吸い込まれていく。
 逆に出て行く魂も俺を掠め行く。


 その輪の中に俺は二度と入ることはできない。

 普段は考えない、思わない、その言葉が
 やけにセンチメンタルだな…俺…


 六道骸。


 俺と同じにならないことを願う。

地の底から、願う